施工実績

そんなお二人の想いと私たちインカラーアーキテクツがコラボした「坪庭のある家」は、夫婦共働きで時間のない生活から、洗濯物を干しっぱなしでも外から見られない坪庭を中心に、干す→取込む→乾いてたらそのままウォークインかけるだけ、という最短距離の家事動線を作りました。

もちろん家事動線だけでなく、坪庭と吹抜けた青空を眺められる大きな窓の前には2階へと続くスチール階段が絵になり、日中だけでなく夜はライトアップでまた違った雰囲気を醸し出してくれます。階段を上った先の1階でも2階でもない中フロアは、趣味のゲームや書斎として、そしてお子さんのスタディスペースとしても活用できます。そこからは大きな吹き抜け越しに1階からも2階からもコミュニケーションのできる、お二人の要望にプラスαの提案を加えました。
『私、このまま住みたい』と言っていただいた通り、「坪庭のある家」は完成しました。

建物は、平屋をベースにした3層スキップフロアの建物です。リビング越しにある子供部屋も、最上階にあるご主人の書斎コーナーもリビングからはもちろん、奥様が立つキッチンやダイニングスペースからも一望できるとても大きな空間に仕上げました。中1階に2部屋取れる子供部屋の下には、延床面積にはカウントされないおよそ8帖以上ある隠れ収納が存在します。空間を無駄なくそして立体的に使うことで、ただ広くして収納を確保し、吊られて建築費が上がってしまう建物とは一線を画します。
リビングにあるテレビの上には、大きなスクリーンが降ろせスクリーンを隠せるボックスも当初から計画しました。もちろん、映画館のように音が後ろからも聞こえてくる音響配線も当初より計画したのは、お施主様のこだわりです。

そして流石、材木関係のお仕事をなさっていることもあり、こだわりの群馬県の柱やナラ床、レッドシダー天井板は、照明器具や階段の黒色と相まって素敵な内装に仕上がりました。極めつけはガルバニウム鋼板の屋根と外壁です。「既製品の整ったものより、人の手で折った手作り感のあるガルバニウムの外壁にしたい」O様のこだわりは細部にも宿り完成した「木と鋼板の家」です。

西道路の敷地は、通り歩く人や車の視線からプライベートな空間を作ることを意識しつつ、西面の窓を小さめにし壁面を大きくした壁がこの建物のアクセントになっています。西面に作られた南側の袖壁もまたプライベートな庭を作ることに役立っています。子供が庭で遊んでいる時、そしてリビングで遊んでいる時でも目を配れ、在宅勤務が多くなるという奥様の要望を充した間取りは、敷地の真ん中、そして建物の南側に配置したワークスペースです。レッドシダーの木で囲まれた半個室のワークスペースは、奥様が夕食の準備をしている時は子供のスタディースペースにも代用でき、キッチンからもよく見えるこの位置からは「ママ、ここ教えて～」という声が聞こえてきそう。

リビングは南に向かった勾配天井で仕上げました。勾配天井の上がった先には、昼は青空を、夜は星空を映し出す、平屋なのに1階より高い位置に四角い窓があります。好きな絵を飾りたいというご夫婦の要望に、その窓はまるで眺望の絵のように日々違う景色を見せてくれます。 私たちと出会う前のO様の悩みは「予算を下げるとデザイン度も下がってしまうこと」でした。私たちのコンセプトである「限られた予算の中で最大限の設計」をすることが、O様の悩みを解消できたのかもしれません。

当初平屋を要望していましたが、私たちが提案した建物は2階建ての建物。でもそれには要望にあった大きなを吹き抜けをリビングだけでなくダイニングの上にも設け、２階部分がまるで宙に浮いているような室内空間を作りました。この建物には一年を通してカーテンをかけることない（付けていない）自分だけの坪庭もあります。

室内のイメージも木を使うところ、タイルを使うところ、階段の質感やクロスの色、キッチンの質感にもこだわりました。極め付けは、巾木のない内装や床の見切りにはステンレスを使いスタイリッシュな仕上がりになっています。室内エアコンも見えない工夫をしたり、床下エアコンを採用したりと、本当にこだわり満載の建物です。もちろん要望をそのまま反映するだけでなく、I様のこの先の未来を考え要望＋αを私たちは提案させていただきました。
それは「自分たちだけのこだわりの家」になることでしょう。

お二人の話を聞くと、ご主人はトレーニング機材を多数お持ちで、アパートには置き切れない機材がご実家に保管してあり、新居には機材を置くスペースを作るという要望がありました。奥様の集めていた資料を拝見させてもらうと、勾配天井の大きな吹き抜け、そして吹き抜け越しの手摺り、黒を基調とした照明器具、キッチンの背面造作棚、トイレのペーパーホルダーから造作カウンターと、既に多くのイメージをお持ちでした。ご夫婦のパートナーとして私たちが入ったことで、お互い家づくりを現実的に考えるようになってくれたようです。気付けばご夫婦には家づくりという目標や目安ができたと言ってくれました。私たちを選んだくれた理由の一つに、「その家庭に合ったプランを一緒に考えていってくれそうだと感じた。」とアンケートにはありました。

平屋ベースの建物は、南側だけでなく北側もよく見えるところに建っています。近くの喫茶店から見えるI様邸の屋根の形状はとても素敵で、おそらく街行く人たちの目にも留まる仕上がりになったと思います。